洲珠乃日記(すずない)

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レッドクリフを観て

DVDレンタルでレッドクリフを借りてきたのでその感想を書いていきましょう。
ネタバレありです。注意してください。


英題:Red Cliff
和題:赤壁

作品の評価は↓        ☆5が最大
この作品を観ての私の評価 ☆3


レッドクリフはpart1.2と全二作の映画になります。
さて、「レッドクリフ」とは、すなわち三国志の中でも有名な赤壁で起こった戦いの名前を題名にした映画となります。
題名から伺えることから、本作品の焦点は、赤壁の戦いとなります。
初まりは、後の三大勢力の一人である劉備が、同じく三大勢力の一人で当時最も中国内で勢力を持っていたとされる曹操との戦いで始ります。
具体的には作中で説明がありますが、場所は新野となります。
新野とは、荊州の一地域で、このとき既に故人になってしまった劉表が同属である劉備が、曹操に追われて逃げている所を客として匿ってもらった際に任地として指定された地でした。
劉表亡き後に起こった故劉表勢力が内部分裂し、特に劉表の妻であった妹がおり、この国の高位にある将軍蔡瑁(さいぼう)が国主になることを狙いました。
この時、蔡瑁の反対勢力は劉備を頼り、優秀な部下を従え、その能力もある劉備蔡瑁は警戒して数度にわたる暗殺を劉表存命時から決行していました。
劉表が没した後、劉備は恩ある劉表の国を奪うことは出来ないとして固辞している間に、蔡瑁が国を押さえてしまいます。
これを機とした曹操は出兵を開始、蔡瑁は降伏します。
この時劉備は自分を慕う民を引き連れ、荊州の脱出を図ります。
ここから物語がスタートします。


最初に観て感じたことは、ドラマを映画にしたような感じかな?という感覚でした。
作品の見所は、やはり戦闘シーンであり、基になった三国志演義を再現している点だと思います。
作品の悪い所は、個人的な意見なのですが大衆にウケる話にしようとした為か、これまでにもビデオやDVD化されてきた中国産歴史物とは違い、話の内容が演技とは全く違う創作シーンがあることです。



関羽
あまり気になりませんが、関羽の俳優さんをみてちょっとした疑問が出ました。
演技では関羽の身長は9尺、周代の1尺の長さが24cmだそうなので、これを×9にすると2mを越える背丈になります。
しかし、映画中では関羽の背は2mには達していなかったと思います。
同じように関羽が持っていたとされる青龍円月刀も俳優さんに合わせた大きさになっているようでした。
また、関羽はよく黙っているので存在感が薄く、残念でした。


八卦の陣
これはpart1における戦闘シーン最大の目玉といえるでしょう。
これは中々に良いものでした。
しかしこの八卦の陣、孔明司馬懿と対決した時の陣立て勝負の時に使用されたものとされており、この劇中で作られた創作物だと思われます。
また、この陣を敷くに当たって劉備と呉の周瑜が共同して陣を構えているのもこの映画のキーポイントと言えます。
しかし、八卦の陣に進入した魏軍の動きを見ると分かるのですが、全軍が侵入して攻撃するシーンが来るまで攻撃をしているようには見えません。
実際計略に引っ掛かると唖然として一種の虚脱状態になるのも頷けますが、この場合計略に引っ掛かったと思う前から攻撃していません。
ただ走って自分から陣に飲み込まれに行っただけという映像だったのが非常に残念でした。
その後の戦闘シーンについては非常に良かったと思います。


孔明周瑜
一番劇中で冷める原因となったのは、異常にこの二人の仲が良いことです。
事あるごとに孔明周瑜は将来呉の最大の敵であるとして害そうとするのですが、この映画では妻小喬との睦み事や孔明との知・音の勝負がクローズアップされすぎていました。
爽やか過ぎて気持ち悪いという印象を持ってしまうほどでした^^;
また、劇中ではたびたび孔明周瑜に関わらずそのようなシーンがあります。


曹操
個人的には、曹操役の俳優さんは非常にあっていると思います。
身振りが非常によく、英傑曹操を思わせる役を演じています。
残念な点は、女性(特に小喬)に対する執着心を強調するあまりに、小喬に似た女性を小喬に見立てて身の回りの世話をさせるという点です。
これは初めて観た時には曹操が呆けてしまったのかと思うぐらいいきなりな展開に驚きました。


小喬
この映画のかなり重要な部分をしめる登場人物となっています。
しかしこの小喬を引き立てた事こそが私がこの作品に対する評価を下げた一番の原因になります。
part1.2の最初から最後まで登場するのですが、個人的には曹操小喬の話をした時に出す程度でよかったです。
あまりに話しに干渉するため小喬エピソードというものが出来上がっており、その分創作の話がいろいろと作られてしまった点にあります。


甘興
最初は誰だ?と思いましたが、どうやら架空のエピソードが増えすぎて登場したオリジナルキャラなのだそうです。
元は甘寧なのだそうですが、俳優さんが日本人の中村獅童さんですね。
硫黄島からの手紙」という映画に出演されていたのでなじみがあります。
元々中村さんが中国語を喋れない(?)又は慣れない為か台詞は少なく、且つ同じ言葉が多かったのですが、それが逆にこのキャラを引き立てており戦闘やちょっとしたシーンなどでは目を引くキャラクターでした。
他のキャラがよく出すぎていて逆に目立つほどです。
創作キャラですが好きなキャラの一人です。


黄蓋
この黄蓋の俳優さん、日本の俳優さんの誰かに似ている気がします。
それはさて置き、黄蓋のキャラクターは少し変わっており、孔明に対して何かと気を配る将軍という役を演じています。
具体的には10万本の矢を集める時にすこし本数が足りず、この時孔明周瑜に矢が10万本に足りないなら首を差し出すといっていました。
この時魯粛と共に黄蓋は非常に心配し、且つ周瑜にたいして孔明を処断しないように掛け合っています。
曹操の船団へ突入する前に、ワザと周瑜を怒らせ50杖の鞭打ちの刑を受け、それを理由に曹操軍へ寝返り、曹操の船団へ近づくのが可能になった。
というのを三国志演技で黄蓋はするのですが、劇中にはそれを周瑜に進言するも退けられています。
しかし、突入した際に敵兵から弓を射られて負傷するというシーンは再現されていました。


アクションシーン
この映画の肝ともいえるアクションシーンですね。
このアクションシーン、文献などで見かける戦術や個人、集団戦法などが多用されていて中々に見所が在ります。
しかし、中国映画ではお馴染みのワイヤーアクションが多く、人が吹っ飛びすぎてわざとらし過ぎるという点が上げられます。


結末
ここが全く納得のいかない物になっていました。
何が納得がいかないかというと、小喬がその一つになります。
小喬は単身曹操の本陣へ乗り込んで撤兵を促し、時間稼ぎをします。
この時間稼ぎが成功して呉軍は火計に成功し、その後魏軍は大敗してしまいます。
この時大将同士の戦いがあり、曹操は火計にあっても逃走せずに戦い続けます。
そしてついに曹操は敗北してしまいますが、この時周瑜は「去れ」といって帰ってしまいます。
なんとその場には、劉備関羽張飛孫権周瑜がいたのですが、全員曹操を殺そうともせず帰ってしまいます。
殺してしまうと話がおかしくなるので分かるのですが、なぜこんな風に終わらせたのか謎で仕方がありません。
一応この内容で全2作ということで区切りとしての終わりにはなっているのですが、最後の最後でなんで?というエンディングでした。
この点非常に残念です。



さてさて、以上でこの感想の記事は終了になります。
ネタバレ、個人的批判などが多く含まれていますがご容赦ください。
それでは。