洲珠乃日記(すずない)

気ままな更新とサイドカーやゲームのブログ

ゲーム中の楔形、ダイヤモンド陣形に対する疑問

楔形陣形に疑問を感じた為記載することにしました。
これは私個人が勝手に感じたことで、なんらかの歴史的証拠などがあるわけではないです。

●結論
先に結論を述べると、どうしてTotal Warでは楔形やダイヤモンド陣形が横隊より強いのか?横隊の方が広範囲にわたって突撃能力を発揮できるではないか。という疑問を感じたので記載します。


●楔について
と言われても現代ではあまりお目にかからないもので、イメージしにくい人もいるだろう。楔は何かの留め具として使用したり、一部に亀裂を生じさせるのに使うのが一般的な楔の使い方だ。一番見かけやすいのはホームセンターで楔を見ることが出来るし、古い農具の鉄器を固定するのに使用されている場合もあれば、古い家の柱に刺さっている場合もある。神社やお寺などで見れるかもしれない。石切りにも使われており、古代では有名なピラミッドに使用したあの巨大な石も楔によって切り出されたものだ。


●楔形陣形について
さて、楔形陣形の何が疑問なのかを記載することにする。
楔形陣形(くさびがたじんけい)は、簡単に言うと▲この陣形の事になる。
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画像の(下)右と(上)手前が通常隊形の楔形陣形、(下)左と(上)奥が弓などの攻撃に対処するため散開隊形になっている楔形陣形

ゲームを例え話に出して申し訳ないが、昔Rome:Total Warで騎兵突撃をする際に他のプレイヤーから何故楔形陣形にして突撃しないのかと怒られたことがある。怒られた意味が初めは理解出来ず、理由を聞いて納得した。その理由は楔形陣形の方が防御能力の高い敵に突撃するには何らかのボーナス効果(なんだったかは覚えてない)が付与されて崩しやすいとの事だった。だが、同時に自分がどうして楔形陣形を使用していなかったかについても思い出した。楔形陣形は突撃を開始すると先頭の兵士がまず敵に接触する、次に2列目の騎兵が接触、次に3列目…という具合に次々後ろにいる騎兵が突っ込んでくることになる。だが、ゲーム中では1、2列が接触すると騎兵の動きがかなり鈍っていることに気付いた。つまり突撃して衝撃と槍によって敵を崩したいのにそれが途中で止まり、不自然な突撃を再開したりそのまま近接戦闘になったりで突撃を有効に活用していない場面を目撃していたからだ。だがちょっと待ってほしい。これはゲームでの話をしたが、このTotal Warシリーズはヒットポイント制を採用しているので、槍が当たったからといってそれがすぐに死に繋がるのかと言えばそうではない。当たったように見えてもその後も元気に戦い続けている兵士だって目にするはずだ。では何が問題か?現実的に考えてみよう。如何に訓練していたとはいっても先ほど書いたように次々に後ろにいる騎兵が突っ込んでくるのだ。周の呂尚六韜の犬韜で騎兵1頭は歩兵8人に値するという記述を書いている。突撃後は突き抜けるか近接戦闘による乱戦になるかのどちらかだろう。また、楔形陣形はあまり見られない陣形で、ダイヤモンド陣形なども登場している。


●騎兵の事故
国が違うので参考程度にしかならないが、上記に書いた六韜の馬が後から後から次々に突撃してくれば味方の馬にあたって落馬する者がいただろうし、味方を刺殺してしまうかもしれない。現代で考えるなら車の多重衝突が発生しないとは言い切れないはずだ。


●楔形、ダイヤモンド陣形の有効性
私見だが楔形陣形は移動には非常に適していると考える。指揮官が楔の先端に位置し、その後を他の騎兵が続いていく陣形だ。楔形陣形はその形が三角形であることから突撃というよりも強行突破に適していると思われ、広範囲の敵に対しての衝撃力はないと考えていいだろう。ただ一点のみを突破するのに使用するべきだと考え、敵の陣形の隙間を走り抜けて後方へ回り込むのに有効な陣形だと思う。また、ダイヤモンド陣形は◇このような形ですが、これはギリシアの特にテッサリア重騎兵で使用された陣形でした。この陣形は四方に対してすぐに対応することが可能であり、移動中に方向が変わっても楔形陣形とは違い常に◇の▲を敵にぶつける事ができたと考えています。どちらの場合も突発戦闘に備えた陣形であることが考えられます。


●ダイヤモンド陣形の画像
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●横隊と楔形陣形の比較
用途が違うので考えるだけ無駄な気もしますが、一応記載してみましょう。
横隊は横一列に騎兵がずらりと並び、数に余裕があれば縦に何列かも並んでいる隊形の事を言います。この横隊は敵部隊の広範囲に騎兵の突進能力を最大限に発揮できる隊形だと考えています。特にこの隊形が実力を発揮したと確認できるのは中世の騎士が行った突撃でしょう。彼らは馬と自らに厚い装甲を装備し、長い槍のランサーと盾を持って突撃しました。その威力は絶大で歩兵は踏みつぶされました。特にこの戦法を使用したのは東ローマ帝国のカタフラクトが挙げられるでしょう。これはゲーム中でも同様で、正面であれ背後からであれ横隊の突撃は広範囲にわたって敵に突撃力を発揮しているように見えます。しかし、何故か横隊よりも範囲が狭い楔形陣形の方が敵を倒しているという奇妙な現象をよく見ました。


●横隊の画像
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●騎兵について
さて、上記でいろいろ記載してきましたが騎兵の効果を知る前は当然騎兵に対する恐怖心というものが兵士にはそれ程無かったのではないかと思います。特に騎兵よりも歴史が先であるチャリオットは整備や馬が2頭以上ということもあって非常に非経済的です。そして時が流れて馬に跨る騎兵が登場しました。しかしそれでも自分と動物、さらに世話をする奴隷まで必要となるとギリシア共和制ローマ世界では貴族などの金持ちでなくては到底賄うことが出来ませんでした。更に当時の騎兵には鐙がなく、馬上で武器を振るったり突撃したりなどをするには相当な訓練が必要で、それ故に手間のあまりかからない歩兵が戦力の中心でした。この恐怖心を植え付けられたのはマケドニアのフィリッポス2世とアレクサンドロス大王でしょう。その後は騎兵を駆使した戦闘で共和制ローマを恐怖に叩き込んだハンニバルがいい例です。騎兵による背面、または側面へ迂回して敵軍の意表を突いた作戦にその真価が発揮できると考えられます。また、あまり知られていないようですが馬の背中に乗っているのが必ず一人ではないという事も頭に入れておきましょう。ギリシアでは多くは奴隷階級のものが、ローマでは低所得者などが軽装歩兵として戦っています。騎手が彼らを乗せて前線へ運んだり撤退を手伝ったりという作業をしている事も忘れてはいけません。一個の騎兵部隊から急に一個の騎兵部隊と軽装歩兵の部隊に早変わりしてしまうかもしれません。


■個人的な希望と考察
上記で記載したように突破能力としての騎兵であるならば、すべての騎兵が突撃してその後は近接戦闘。という流れをやめてほしい。無論突撃よりも近接戦闘に特化した騎兵部隊が存在するかもしれないから、その点は考慮しなければならない。だが、突撃能力が特化している騎兵には特殊コマンドがあってもいいような気がする。つまり、突撃後にそのまま敵を突き抜けて背後まで移動することだ。どんなに戦闘状態になろうとも突破を試みる動きをしてほしい。特にこれが一番欲しいのはチャリオットだ。チャリオットは本来2頭以上の馬に引っ張られて馬力も騎兵単体よりも強い。それに馬の後ろにある台車の車輪には敵の足を切りつける鎌が装着されたりしている。この事からもチャリオットが突破して、その途中で敵歩兵の足を切りつけて敵陣を突破する兵器だとわかるはずだ。それにチャリオットは戦車ともいわれるが、その通りで現代戦車でもそうだが駆逐はできてもその地域の占領や敵のど真ん中にいて戦闘を続けるのには向かない。戦車の弱点は装甲もあり自走もできるが、複数の敵が自身を攻撃してきたときにすべてに対応は出来ないという点が同じではないか。つまりチャリオットは移動していてこその兵器ではないかと考えられないか。現代戦車は遠距離から歩兵を吹き飛ばす砲撃出来るが、チャリオットには突撃と少しの投げ槍、弓がある程度だろう。移動していてこその兵器を観ることのできる映画もある。映画アレキサンダーではダレイオス三世がチャリオットを使ってマケドニア軍を攻撃している。しかしファランクス隊形を組み、長い槍サリッサによってその移動能力を封じられて軽装歩兵に騎手は落とされて刺され、馬は槍によって突き殺されている。映画のようにうまくいくはずがないと考える人もいるだろうが、ではチャリオットの有効性は何なのかという話になれば移動していてこその兵器だという考えに否定は出来ないのではないだろうか。もちろん上記で記載したように突撃後に踏ん張って近接戦闘をし、敵に打撃を与える部隊もいるだろう。特に騎兵の突撃とその後の近接戦闘、馬に圧迫される恐怖感、これらで敗走し始める敵もいるに違いないからだ。


■最後にまとめ
さて、私がなぜ疑問に思ったかこれで解っていただけたのではないかと思います。まとめてしまえばどうして突撃体制を整えて攻撃する横隊より突発戦闘や迅速な移動に対応するはずの楔形、ダイヤモンド陣形が有効なのか?という事です。一列に並んで槍を構え、突撃してくる騎兵に正面から戦うよりも楔形やダイヤモンドの方が強いってどういうことなの?とういう謎でした。