洲珠乃日記(すずない)

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海外ドラマROMEと比較したファルサロスの戦い

題名の通りです。
今からするお話は海外ドラマ「ROME」を観ていないと完全には理解できないかもしれません。
史実の方については簡単にまとめるのでどんな参考物でも分かるかと思います。

以下に書く記事は比較内容ですが、ドラマに史実どおりの展開を批判したりとかそういう意味で書いていないので。
ちょっと疑問に思ったので書いてみようと思った程度です。



□海外ドラマの簡易内容:
まず、ドラマではファルサロスの戦いにいたるまでの経緯は省略されており、前の戦いにカエサルが敗北していることを登場していません。
DVD第4枚目でのお話です。

この敗北というのは、数が劣勢のカエサル軍がポンペイウス軍に対して包囲作戦を展開して失敗したもの。「デュラキウムの戦い」

上記の敗北の説明が抜けており、エピソードの始まりは負傷兵達のシーン→アントニウスカエサルが地図を眺めて海岸へ撤退するかを検討しているシーンで始ります。


□本題:
この時、カエサルの敵、すなわちポンペイウス率いる元老院軍では、早くも勝利を予感して食事をしながら内戦後の任地決めを始めていました。
この食事の中にいる人は(略名にします)
ポンペイウス」「スキピオ」「カトー」「キケロ」「ブルートゥス」でした。
この時会話を掲示すると、
ブルートゥス:父親同然のカエサルを殺害する事に気が進まないと主張。
ポンペイウス:史上と同様に補給線を絶つことで1,2ヶ月待てばカエサル軍は瓦解して勝つと主張。
カトー:ブルートゥスには悪いがカエサルは殺すべきで、瓦解を待つのは面子が立たないと主張。
スキピオ:カトーと同意見。

この話の時点で史実と違う点
カトーの発言で、カトーもポンペイウス同様に攻撃は控えるべきだと考えていたとされます。


□進軍と戦闘:
進軍にいたるまでのドラマの経緯は、先ほどの食事の席でカトーとスキピオによる強硬な姿勢がポンペイウスを動かしました。
ドラマの中では戦闘はなんとも味気く、ほんの数シーンで終わってしまいます。

戦闘後に敗北したポンペイウス側では言い争いが始ります。
まず初めにキケロが軍団を離れると言い、カトーが怒ります。
その後にブルートゥスが「こんなにもポンペイウスが愚かだとは思わなかった」という発言がありますが、この点に注目したいと思います。


このファルサロスの戦闘の敗因はポンペイウスの作戦能力が悪いから、とは考えにくい。
そう考えた点は、カエサルポンペイウスもほぼ同じ作戦を取ったと思われるからです。
地形はwikiにあるものを信じると、カエサル軍からは左、ポンペイウス軍からは右に川が流れており、正面から対決する部隊と川の反対からの側面攻撃とによる攻撃こそが勝利の鍵だと双方が考えていたと思われます。
このため双方の側面部隊が同じ作戦を取っているので激突し、カエサル軍の側面攻撃部隊の騎兵がポンペイウス軍の左翼騎兵部隊によって撃退されてカエサル軍右翼の側面に騎兵部隊が殺到します。
しかしこの騎兵攻撃をカエサルが動物の習性を利用した方法で撃退し、カエサル軍はそのまま歩兵でポンペイウス軍の左翼を攻撃して2方向攻撃を行い、ついに数に勝るポンペイウス軍を打ち負かします。
こうしてファルサロスの戦いは勝敗が決してしまいます。


こうしてみると中盤・・・ポンペイウス軍の騎兵が追い返されるまではポンペイウス軍が有利といっても過言ではありません。
この時ポンペイウス軍の騎兵指揮官は、カエサルガリア時代からの盟友だったラビエヌスだとされ、対カエサル人員としては最適な判断と思われ、ポンペイウスの作戦立案能力に欠如は見られない。
それどころか若き頃からの戦績を実証するぐらいの状況を見抜いた戦術眼を持っている。
しかし、作戦は机上の物であって実際にその通りに行くとは限らない。
敗北した原因には別に、軍隊はカエサル軍の2倍ほどいたが、各場所から急いで集めたために動きが合わなかったという記述も見られる。
この事から察するに、ポンペイウスの意図する作戦を軍隊の練度不足が失敗に導いたと考えた方がよいと思われる。


この後ドラマのポンペイウスは、「手は震え、服も汚れ 涙ぐんでいた」といわれるほどの悲惨な逃避行を続け、落命の地アレクサンドリアへと落ち延びます。