洲珠乃日記(すずない)

気ままな更新とサイドカーやゲームのブログ

フランス軍のモーターサイクルコートについて

ここ数年はずっとウラルの冬の装備と言えば実物フランス軍のモーターサイクルコート(ロング)を着用していました。

 

着用の後ろ姿

 

このコートはバイクで着るためのものですが、あまりお勧めしません笑

もちろん利点もありますが、それはこのコートの特性を説明する必要がありますが後述します。

 

まずおすすめしない理由を書きましょう。

 

重量

キャンバス地ですから、同じキャンバス地のテントを着てるのと同じようなものです。

 

防風の問題

モーターサイクルコートなのに防風出来ていません。

ボタンの配置がシングルなのでダブルのコートには敵いません。

隙間からどんどん風が入ってきます。

 

着心地の問題

ゴワっとしていてもっさりしています。

生地の可動範囲が狭く、細かい動きには対応できません。

 

襟の風よけに問題あり

今の服でもそうですが、襟を立てて首に入ってくる風を防ぐようにこのコートは作られています。なので風が強い時は立てるのですが、これだと半ヘル以外のヘルメットは外側が常に当たっているのでゴソゴソ音がかなり耳障りです。またフルフェイスならチンガードの部分が当たります。または風防襟の上に乗っかることが多いので立てても潰れてしまうので意味がないです。

 

備考

現代の単車で公道を走る際、カーブでは体重移動や姿勢変更を行うことがあると思いますが、これがしにくいのです。

動きを制限されるのでこのコートは現代の単車や公道を走るのには不向きと言えます。

 

 

次に利点について話しましょう。

 

キャンバス生地に工夫あり

軍用なので実際に活動する兵士に雨が降ってるから行動中止なんて言葉はありません。なので防風と雨を考慮して密な編み方をしたキャンバス生地を使っています。だから重いのです。

ちなみに雨でも着用したことがありますが、2時間ぐらい高速や下道を走りましたが貫通しませんでした。優秀です。

 

このコートはオーバーコートなのです

つまりジャケット(制服)の上に羽織るカッパ兼コートなのです。

だから着心地なんかは考えずに機能だけを追求したのでしょう。

ちなみにライナーもあるそうです。が、私は持っていません。

また上に羽織るため下の制服のポケットにアクセスするのを簡単にするためのスリットがポケットの位置に来るように左右開いています、地味にこの機能優秀だったりします。真冬の外套はどうしても冷たいですが、その下の服は外套に覆われていて案外温かいのです。

 

足留めのベルト付き

これはモーターサイクルコートなので足元が風でバタつかないように左右ベルトが縫い付けられています。これで固定すれば高速でも全く問題ありません。雨が降っていてもこのおかげで内元に入っても来ません。

 

首の襟立て風防について

上に難点を描きましたがこれは当然です。だってそもそもフランス軍の制帽や鉄帽をかぶるために設計されているのですから、現代でいう半ヘルのようなものです。フランス軍アドリアンヘルメットは基本的にWW1の1915年支給から1970年までの長きにわたって軍に関わらず広く使用されています。それはともかく、このような形状のヘルメットに対応するだけでよかったのですから、当然現代の事情なんか考慮されているはずもないのです。つまり半ヘルに似た物なら大抵違和感なしです。しっかり使用できれば風防にもなるし熱も逃げにくいので前傾姿勢でない限りは風が入りにくく逃げにくい、自分の吐息も逃げにくいのでそれも温かい理由の一つになります。

 

備考

上記のような利点はあるのですが、難点と併せて検討するとバイクでの使用は限られた条件において使用可、というところでしょうか。

この条件を外れる使い方をしたときは非常に疲れたり取り回しに苦労することになると思います。

 

 

歴史

かなり調べたのですが全くといっていいぐらいに情報がありません。

着用している写真もほぼ見当たらない。

はっきりとフランス兵が着用している写真が見当たらないのは、そもそもパリ占領による実質降伏ともいえる調停を行ったのが1940年6月のこと。夏に入ろうかというタイミングでコートを着た写真なんてあろうはずがありません。

有名な写真から公開されるのでコアな写真はなかなか難しいのだと思い知らされます。

何とかそれっぽいものを発見しましたが、着用していたのはモロッコ第3歩兵連隊(3e RTM)の写真で、どうも3月からドイツ軍と戦闘を重ね、進軍を阻止した経験もあったのだとか。その時の歩兵のコートがそれっぽいのですが、似たような外套をフランス軍は装備しているので判別に困ります。

オートバイ兵の写真とみられるものでも基本的にはショートを着用している写真ばかりが出てきます。ロングを着ていても袖口がボタンになっていてベルト式ではないので外套ではないかと思われます。

 

ネットで調べられる限りでは、

1930~1950年までの間使用されていた

M35、M38、M47と3つの型番が確認できたが、M35、M38は日本でしか確認できなかったM47はフランス国内からの出品で出ていた服の名前がこの型番だった。

Mなんとかは製造年を表すだけの可能性もあるので、単にその違いだけかもしれない。

どうも博物館のような写真での解説ではM38と説明されているのを発見した。

 

もうこれで限界です笑

 

 

販売してた

アマゾンで現在確認できる実物出品はここだけのようでした。

しかしこれとは別にリプロダクト品も発見しました。

こちらも見た感じいい商品のようですね、実物が欲しい人でも買う価値はあるかと思います。

正直なところリプロダクト品は実物を参考にしただけあって非常に良いつくりをしていると思いますので、お金が厳しい人はこちらを購入してみては?

ミリタリー衣装としては映えますしヴィンテージ車両とも相性がいいのでお勧めです。